業種別ポータルと口コミサイトの使い方|グルメサイト・予約サイトと GBP の使い分け、食べログ裁判の結論

最終更新 LocalBase 編集部監修: 寺師 岳見
効果の目安マップ中通常検索中AI 検索高見方

結論: 業種の主要ポータルは、利用者が実際に比べる場所であり、AI 検索が「評判の店」を判断する材料でもあります。全部に有料で出る必要はありませんが、業種の主要な 2〜3 か所と、法令で報告する公的な名簿(医療情報ネットなど)は、情報を正確に保ちます。有料プランをやめるときは、ページを消さず無料の店舗会員に移すのが基本です。

なぜ大事か

利用者は Google とポータルを行き来している

TableCheck が 2022 年 6 月に行った調査では、飲食店を探すときに使う手段は Google が 86.1% で初めて首位になり、グルメサイト(61.3%)を上回りました。2020 年の調査ではグルメサイト 78.9%、Google 78.5% とほぼ並んでいました。

ただし、これは「グルメサイトが不要になった」という意味ではありません。利用者は、Google で見つけた店をポータルで比べ、ポータルで見つけた店の場所や評判を Googleマップで確かめる、という行き来をしています。

LocalBase の運用支援でも、美容室には次の流れを前提に GBP を整えるよう案内しています。ホットペッパービューティーで店を選んだ利用者は、自宅や職場からの行き方を調べるときに Googleマップで店舗を開き、そこで GBP のクチコミを目にします。評価が高ければ「ここに決めよう」となり、否定的なクチコミが並んでいれば、ほかの店も見てみようとなります。ポータルで集客している店舗ほど、GBP の情報とクチコミが「最後のひと押し」になっています。

AI 検索は第三者のクチコミを重く見る

海外の専門家への調査(Whitespark、2026 年版)では、AI 検索で紹介されやすくなる要因として、業種のディレクトリへの掲載や、複数のサイトでクチコミを集めていることが挙げられています。BrightLocal の 2025 年の調べでも、Google の AI モード、Gemini、Perplexity、ChatGPT のすべてが、業種のディレクトリやクチコミサイトを情報源に使っていました。

AI は「評判のいい店」を答えるとき、1 つのサイトの評価より、複数のサイトで共通して評価が高い店を選びやすいと考えられます。GBP のクチコミだけが多く、ポータルの評価が極端に低い、あるいはポータルに情報がない店は、AI にとって根拠が薄い店になります。

業種ごとの主要な媒体

媒体の力関係は地域や業態で違います。下の表は、日本で利用者が多い代表的な媒体の例です。「地域名 + 業種」で検索して、上位に出る媒体を確認するのが一番確実です。

業種 主な媒体の例 公的な名簿 注意
飲食 食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ、Retty、一休.com レストラン、トリップアドバイザー — 店舗が登録していなくてもページができやすい。閉業・移転の情報が残りやすい
美容(美容室・ネイル・エステ) ホットペッパービューティー、楽天ビューティ、minimo — 有料掲載が前提の媒体が多い。薬機法・景品表示法の表現に注意
医療(病院・クリニック・歯科) EPARK、Caloo、病院なび、ドクターズ・ファイル 医療情報ネット(ナビイ) 医療広告ガイドラインの対象。体験談やビフォーアフターの扱いに注意
整骨院・接骨院・鍼灸院 エキテン、EPARK など — 施術所の広告の規制(名称・施術内容の表現)がポータルの紹介文にも及ぶ
宿泊 楽天トラベル、じゃらん、一休.com、Booking.com、Expedia、Agoda、トリップアドバイザー — 訪日客は海外の予約サイトとトリップアドバイザーを使う
不動産 SUUMO、LIFULL HOME'S、アットホーム — 物件ではなく「店舗(会社)」の情報も正確に。GBP は物件ごとには作れない
士業 弁護士ドットコム、ベンナビ、税理士ドットコム 弁護士会・税理士会などの検索サービス 会の登録情報と事務所の所在地・電話番号を一致させる
介護 みんなの介護、LIFULL 介護 介護サービス情報公表システム 家族がパソコンで調べることが多い。Bing の情報も整える
学習塾 塾ナビ、テラコヤプラス など — 保護者のクチコミが多い。合格実績の表示は根拠を明確に
小売・その他 エキテン、iタウンページ — エキテンは 250 以上の業種に対応し、無料で掲載できる

医療情報ネット(ナビイ)

医療機関には、医療法に基づく医療機能情報提供制度で、診療日・診療時間・診療科目・対応できる疾患や治療などを都道府県に報告する義務があります。2024 年 4 月から、それまで都道府県ごとだった情報の公開の仕組みが、厚生労働省の全国統一のサイト「医療情報ネット(ナビイ)」にまとまりました。報告は医療機関等情報支援システム(G-MIS)でオンラインで行います。

  • 報告は年 1 回以上の定期報告(原則、1 月 1 日〜3 月 31 日の間の 1 回を含む)と、内容が変わったときの報告
  • 診療時間・休診日を変えたら、GBP・自社サイト・ナビイを同じ時期に直します
  • ナビイは公的な情報なので、AI や検索エンジンが「正しい情報」として参照しやすいと考えられます。GBP と食い違っていると、どちらが正しいか分からなくなります

薬局にも、同じような薬局機能情報提供制度があります。

介護サービス情報公表システム

介護サービスの事業所は、介護保険法に基づき、事業所の情報を都道府県に報告し、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で公表されます。所在地・電話番号・サービスの内容が GBP や自社サイトと一致しているかを、報告のたびに確認します。

グルメサイト・予約サイトと GBP の使い分け

来店のタイミングで役割が違う

LocalBase の運用支援では、それぞれの役割を次のように考えています。

GBP(Googleマップ) 予約サイト・グルメサイト
主な利用者 「今、この近くで」探す人。土地勘のない場所で探す人 数日〜数週間先の予定のために、予算やコースで比べる人
向いている場面 当日の来店、急ぎの用事(急な歯の痛み、出先での買い物、急に髪を整えたい) 宴会・記念日・コース予約、クーポンで選ぶ来店
費用 無料 掲載料、予約の手数料(媒体による)
情報の管理 店舗が管理。ユーザーや Google の編集もある 店舗が管理。店舗が登録していないページもある

飲食店に限らず、クリニック、美容室、ドラッグストアなどでも、「近くで今すぐ」探す人は GBP で見つけています。予約サイトで集客していても、GBP を整えていないと、マップから探す人を競合に取られています。

業態ごとの判断

業態 有料の予約サイト 考え方
宴会・団体の多い大型の居酒屋 使う価値が高い 宴会コースの予約と相性がよい
記念日向けのレストラン 使う価値が高い コース・席の指定・特典で比べられる
カフェ・バー・ラーメン店 必要性は低い 「今近くで」探されることが多い。GBP と SNS が中心
美容室(新規客を多く取りたい) 使う価値が高い 新規客のクーポンで集客する業態。GBP は来店前の確認の場
美容室(常連客が中心) 必要性は下がる 自社の予約システムと GBP、SNS で回る
クリニック・歯科 業態による 予約の多さと手数料を比べて判断

予約の入口は自社を優先する

GBP には予約のリンクを設定できます。自社の予約システムや予約フォームがある場合は、それを主に設定します。GBP まで来た利用者を、手数料のかかる予約サイトに送るのはもったいないからです。ポイント目当てで予約サイトを使う利用者もいるので、予約サイトのリンクを併せて置くのは構いません。

無料プランに移すという選択

有料の掲載で予約が入らないなら、契約を見直すのは当然です。ただし、ページごと消すのではなく、無料の店舗会員(無料プラン)に移すのが基本です。

  • ページが残ることで、店名・住所・電話番号の掲載(サイテーション)が残る
  • これまでのクチコミと評価が残る
  • 店舗会員であれば、営業時間などを自分で直せる。食べログの無料店舗会員では、店舗情報の編集や、ユーザーによる店舗情報の編集を止めることもできる
  • 放置されたページは、利用者や運営者の編集で情報が古くなり、閉業と誤解されることもある

注意:

  • 媒体によっては無料の掲載がないものがあります(ホットペッパービューティーは有料掲載が前提とされています)。解約するとページや予約の管理画面が使えなくなる場合は、顧客データの書き出しなどを解約前に済ませます
  • 有料プランは契約期間(6 か月・12 か月の自動更新など)が決まっている媒体があります。解約の締め切りを確認してから判断します
  • 有料プランの解約後に、検索順位(媒体の中での並び順)が下がるのは普通です。媒体の中の順位と、Google での見つかりやすさは別のものです

食べログの評価をめぐる裁判の経緯

飲食店の評価の仕組みを考えるうえで、知っておく価値のある裁判です。

時期 出来事
2019 年 5 月 食べログが点数の計算方法(アルゴリズム)を変更
2020 年 3 月 公正取引委員会が、飲食店ポータルサイトの取引の実態調査の報告書を公表
2020 年 5 月 焼肉チェーンの運営会社が、アルゴリズムの変更でチェーン店の評価が一斉に下がったとして、運営会社のカカクコムを提訴(差し止めと 6 億円余りの賠償を請求)
2022 年 6 月 東京地裁が、優越的地位の濫用を認め、3,840 万円の賠償を命じる
2024 年 1 月 東京高裁が一審を取り消し、カカクコムが逆転勝訴。食べログが優越的地位にあることは認めつつ、公正な競争を阻害する取り扱いとまでは認められないと判断
2026 年 3 月 最高裁が上告を退ける決定(3 月 5 日付、裁判官 4 人全員一致)。カカクコム側の勝訴が確定

店舗にとっての教訓

  • ポータルの点数の付け方は、ポータルが決めるものです。裁判の結論としても、計算方法の変更そのものは違法とされませんでした。点数が急に変わっても、店舗にできることは限られます
  • 1 つの媒体に集客を頼りすぎない: 点数の変更や規約の変更で、売上が大きく動くおそれがあります。GBP、自社サイト、SNS、複数のポータルに分散しておきます
  • 点数の仕組みは媒体ごとに違う: LocalBase が 2024 年に確認した例では、ある店舗の食べログのページで、8 人の投稿の点数の単純な平均は 3.47 だったのに、表示されていた点数は 3.01 でした。食べログは投稿者ごとの影響度などを加味した独自の計算をしているとされ、単純な平均ではありません。一方、Google のクチコミスコアは、Google で公開されているすべての評価の平均値だと Google は説明しています。媒体ごとに「点数の意味が違う」と理解しておきます

よくある違反・失敗

× よくある違反・失敗 何が問題か
スタッフや知人にポータルのクチコミを書かせる 各媒体の規約違反。景品表示法のステルスマーケティング規制の対象にもなりうる
「クチコミを書いたら次回 10% オフ」と、評価の高い投稿を条件に特典を出す Googleマップのクチコミでは、特典と引き換えに高評価の投稿を依頼したクリニックに、消費者庁が措置命令を出した例が 2024 年・2025 年にある。ポータルでも同じ考え方が当てはまる
ポータルのクチコミを、自社サイトに「お客様の声」として無断で転載する 媒体の規約や著作権の問題。医療機関では医療広告ガイドラインで体験談の掲載が制限される
解約したポータルを放置する 古い営業時間・閉業の誤表示が残り、AI 検索にも古い情報が使われる
ポータルの店名にキーワードを足す(「○○ 腰痛専門」) GBP の名前と食い違う。媒体によっては規約違反
ポータルごとに違う電話番号・住所の書き方をする 同じ店舗かどうかが分かりにくくなる

業種ごとの注意

  • 飲食: 食べログ・Retty などは、利用者の投稿や運営者の調査で店舗のページができます。開業したら、まず各媒体で自店を検索し、ページがあれば店舗会員になって情報を直します
  • 美容: ホットペッパービューティーのクーポンや施術の表現は、景品表示法(二重価格、根拠のない「No.1」)や薬機法(効果効能の表現)に注意します
  • 医療: 医療広告ガイドラインで、患者の体験談を自院の広告に使うことは原則として認められていません。ポータルの紹介文も、医療機関が内容に関わるなら広告として扱われる可能性があります
  • 整骨院・鍼灸院: 厚生労働省の施術所の広告ガイドライン(2025 年 2 月)で、名称や施術の表現に制限があります。ポータルの紹介文でも同じ表現を使わないようにします
  • 宿泊: 予約サイトごとに部屋の名前や料金が違うと、利用者が混乱します。施設名・住所・電話番号に加え、チェックイン・チェックアウトの時刻もそろえます
  • 不動産: GBP は物件(売買・賃貸の部屋)ごとには作れません。ポータルでは物件を、GBP では店舗(会社)を、と役割を分けます

複数店舗の場合

  • 本部で「店舗 × 媒体」の一覧を作り、契約の状態(有料・無料・未登録)、ログインの担当、最終確認日を管理します
  • 閉店した店舗のポータルのページは、閉店の手続きを媒体ごとに行います。放置すると、閉店した店舗に問い合わせや予約が入ります
  • ポータルのクチコミへの返信の方針(返信するか、誰が返すか、テンプレート)を、GBP のクチコミの返信と合わせて決めます。LocalBase では GBP のクチコミの一覧・返信テンプレートを使えるので、ポータルの返信の文面もそれに合わせておくと、店舗ごとの対応のばらつきを減らせます

チェック項目

  • 「地域名 + 業種」で検索し、上位に出るポータルを確認した
  • 業種の主要ポータル 2〜3 か所で、店名・住所・電話番号・営業時間が正しい
  • 法令で報告する公的な名簿(医療情報ネット、介護サービス情報公表システムなど)が最新
  • 解約したポータルを無料の店舗会員として残し、情報を直せる状態にしている
  • GBP の予約リンクに、自社の予約ページを主に設定している
  • スタッフ・知人によるクチコミや、特典と引き換えの高評価の依頼をしていない
  • ポータルの紹介文が、業種の広告の規制に沿っている

よくある質問

Q. グルメサイトを全部やめて、GBP だけで集客できますか? 業態によります。カフェやラーメン店のように「今近くで」探される業態は、GBP と SNS が中心でも成り立ちやすい一方、宴会やコースの予約が多い店は予約サイトの効果が大きいことがあります。やめる場合も、ページは無料の店舗会員として残してください。

Q. ポータルのクチコミは Google の順位に影響しますか? Google のマップの順位に直接どう影響するかは分かっていません。ただし、AI 検索では、複数のサイトのクチコミが「評判の裏付け」として使われると考えられています。利用者が店を比べるときに見る場所でもあるので、評価と返信は整えておく価値があります。

Q. 食べログの点数が急に下がりました。どうすればよいですか? 点数の計算方法は食べログが決めるもので、裁判でも計算方法の変更は違法とされませんでした。店舗ができるのは、情報を正確に保ち、来店した人に満足してもらい、投稿してもらうことです。1 つの媒体に頼りすぎない集客の形を作ることが、長い目で見た対策になります。

Q. 医療情報ネットの情報は、GBP と違っていても問題ありませんか? 問題があります。医療情報ネットは法令に基づく公的な情報で、利用者も AI も「正しい情報」として見ます。診療時間や休診日を変えたら、GBP・自社サイトと同じ時期に報告してください。

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