複数店舗・チェーンの MEO 運用|本部と店舗の分担、権限、一括管理の進め方

最終更新 LocalBase 編集部監修: 寺師 岳見

結論: 複数店舗の MEO は、1 店舗の施策を店舗数だけ繰り返すものではありません。本部は名前・カテゴリ・住所・URL・権限・正しい情報の台帳を持ち、店舗は写真・クチコミの依頼と返信・特別営業時間・現場の変化の報告を担う、という線を引きます。最初にやるのは施策ではなく、全店舗のプロフィールと権限の棚卸しです。

店舗が増えると何が起きるか

1 店舗なら店長が気づいて直せることも、店舗が増えると誰も気づかないまま残ります。チェーンでよく起きるのは次のような状態です。

起きること よくある原因 詳しいページ
店舗ごとに名前の付け方がばらばら(「新宿店」「新宿」「新宿東口店」) 店長がそれぞれ登録した。命名のルールがない 店舗名・カテゴリ・情報の統一ルール
退職した店長の個人アカウントがオーナーのまま 開店時に店長が自分の Gmail で作った ビジネス拠点グループと権限の設計
同じ店舗のプロフィールが 2 つある 本部と店舗が別々に作った。業者が作り直した 重複の見つけ方と統合
1 店舗ずつ動画で確認していて終わらない 一括オーナー確認の条件を知らない 一括オーナー確認
閉店した店舗が「営業中」のまま 閉店の手順に GBP が入っていない 出店・閉店・移転・改装の処理
加盟店が脱退したら、プロフィールに入れなくなった オーナー権限の扱いを加盟契約で決めていない フランチャイズの権限とオーナーの持ち方
ある店舗だけクチコミが数か月未返信 返信の担当と期限が決まっていない 複数店舗のクチコミ返信の体制
本部が「順位の悪い店舗」を見誤る 立地の違う店舗を、閲覧数の絶対数や 1 回の検索結果で比べている 店舗横断の数値の見方

どれも、1 つずつ直せば済む問題ではなく、決め事がないことから毎回生まれる問題です。

本部が持つもの、店舗に任せるもの

線の引き方の基準は 2 つです。間違えたときの損失が大きく、全店でそろっている必要があるものは本部が決めて入力します。現場にいないと分からないもの、速さが大事なものは店舗に任せます。

項目 決める人 入力する人 本部の確認
ビジネス名 本部 本部 必須。店舗は変更しない
メインカテゴリ・追加カテゴリ 本部(追加カテゴリは店舗の実態を聞いて決める) 本部 必須
住所・ピン 本部 本部 必須。ピンは店舗が現地で確かめる
電話番号・ウェブサイト(店舗ページの URL) 本部 本部 必須
通常の営業時間 店舗が申請し本部が決める 本部(一括) 必須
特別営業時間(祝日・臨時の休み) 全店共通の休みは本部、店舗だけの休みは店舗 決めた人 不要(期限だけ管理)
属性(駐車場、バリアフリー、支払い方法など) 店舗が実態を報告し本部が決める 本部 必須
ビジネスの説明 本部が共通部分の型を作り、店舗固有の部分は店舗が書く 本部 必須
写真 店舗 店舗 撮り方のルールを本部が配る。公開前の確認は任意
投稿 全店共通は本部、店舗固有は店舗 決めた人 規制のある業種(医療・美容・金融など)は必須
クチコミへの返信 店舗(低評価・事故・法令に関わるものは本部) 店舗 低評価など一部だけ
修正の提案・Google による変更の処理 本部 本部 店舗に事実を確かめてから承認・拒否
ユーザーと権限 本部 本部 毎月の棚卸し
順位・数値の記録 本部 本部 店舗には結果を返す

こう分けると、店長は名前やカテゴリを触る必要がありません。権限は「管理者」で足りますが、管理者でも名前やカテゴリは編集できてしまうので、触らない項目を手順書に明記しておきます。「お客様に分かりやすいように」と善意で名前に駅名を足すような変更も、ガイドラインでは違反です(ビジネス名)。

承認を挟むもの、挟まないもの

本部の承認は、多すぎると店舗の動きが止まります。特にクチコミの返信は、承認待ちで 1〜2 週間放置されると、承認しない方がましだった、ということになりかねません。

  • 承認を挟む: 低評価(星 1〜2)への返信、事故・健康被害・衛生に関わるクチコミへの返信、医療・美容など広告の規制がある業種の投稿、価格や割引を書いた投稿、名前・カテゴリ・住所に関わる変更
  • 挟まない: 星の高いクチコミへのお礼の返信、写真の追加、特別営業時間、店舗のイベントの投稿(規制のない業種)
  • 承認の期限を決める: 「申請から 24 時間以内に承認か差し戻し」「休日は代理の承認者」のように、本部側の期限も決めます。承認の担当が 1 人だと、その人の休みに全店が止まります

正しい情報の台帳を 1 つにする

店舗が 10 を超えると、GBP の管理画面そのものを「正しい情報」として扱うのは危険です。利用者の修正の提案や Google による変更で、いつの間にか書き換わるからです。本部で、店舗ごとに 1 行の台帳(表計算のファイルで十分です)を持ち、GBP・公式サイトの店舗ページ・ほかの地図サービス・ポータルサイトはこの台帳から反映するようにします。

台帳に持たせる列の例です。

列 例 メモ
店舗コード C-13-0012 GBP の「ビジネスコード」と同じ値。社内の店舗番号と合わせる
正式な店舗名 ○○珈琲 新宿東口店 看板・サイトの店舗一覧と同じ表記
住所(表記を決めたもの) 東京都新宿区新宿3-○-○ ○○ビル 1F 丁目・番地の書き方を全店でそろえる
電話番号 03-xxxx-xxxx 店舗に直接つながる番号
店舗ページの URL https://example.co.jp/shop/shinjuku-east/ 全店で同じドメイン
メインカテゴリ / 追加カテゴリ カフェ / コーヒーショップ、喫茶店
通常の営業時間 月〜金 7:00-22:00、土日祝 8:00-21:00
業態・エリア・直営/加盟 駅前型 / 東京西 / 直営 GBP のラベルにも入れる
GBP の状態 確認済み・グループ内 確認が外れた日、停止の履歴も
担当(店長・エリアマネージャー) 異動のたびに更新
開店日・閉店日 2019-04 / ―

台帳の値を変えるのは本部だけにし、店舗からの変更は「申請 → 本部が台帳を直す → 台帳から各媒体に反映」の順にします。順番が逆になると、GBP だけ新しく、公式サイトとポータルが古い、という不一致が残ります(NAP の統一)。

店舗数ごとに変わること

店舗数 管理のしかた 本部の体制
2〜9 店舗 ビジネス拠点グループを作り、全店を 1 か所にまとめる。オーナー確認は店舗ごと(動画など) 経営者か本部の 1 人が兼務。台帳と命名のルールだけは最初に作る
10〜49 店舗 一括オーナー確認を申請できる。店舗コードとラベルを付け、スプレッドシートで一括更新する 本部に担当を置く。エリアマネージャーが店舗の確認役になる
50 店舗以上 ブランド・業態ごとにグループを分けるか検討する。変更の申請と承認の流れを仕組みにする 専任の担当と、承認の代理を含む 2 人以上の体制。月次の数値を店舗ごとに出す

10 店舗を超えると、手作業では回らなくなります。年末年始の特別営業時間を 1 店舗ずつ管理画面で入れると、店舗数 × 数分の作業になり、入れ忘れの店舗が出やすくなります。一括オーナー確認の条件も 10 店舗以上なので、ここが仕組みを切り替える目安です。

本部が引き継いだら最初にやる順番

店長や業者が個別に運用してきたチェーンを本部がまとめる場合、次の順で進めます。施策(投稿やクチコミ集め)は、1〜4 が終わってからで構いません。

  1. 棚卸し: Googleマップでブランド名を検索し、出てくる自社の店舗をすべて書き出します。管理画面にある店舗と突き合わせ、「マップにあるのに管理画面にない店舗」(誰かが別のアカウントで持っている、利用者が作った)と「重複」を洗い出します。閉店した店舗も検索に残っていないか見ます
  2. 権限の回収: 管理画面にない店舗は、持っている人(元店長、業者、加盟店)に頼んで本部のアカウントをオーナーに追加してもらいます。連絡が取れなければオーナー権限の取り戻し方の手順を使います
  3. グループにまとめる: 本部のアカウントでビジネス拠点グループを作り、全店を移します(ビジネス拠点グループと権限の設計)
  4. 表記をそろえる: 命名・カテゴリ・URL のルールを決め、台帳を作り、ずれている店舗を直します。大きな変更は一度に全部を変えず、項目ごとに日を分けます(統一ルール)
  5. 一括オーナー確認: 10 店舗以上で条件を満たすなら申請します(一括オーナー確認)
  6. 運用の決め事: 返信の分担と期限、写真と投稿のルール、出店・閉店の手順を手順書にします
  7. 数値の記録: 全店の数値と順位を同じ条件で記録し始め、3 か月分たまったら店舗ごとの課題を見ます

棚卸しで見つかりやすいのは、業者が過去に作ったプロフィール、閉店した店舗の旧プロフィール、移転前の住所のまま残ったプロフィール、利用者が作った重複です。本部が把握している店舗数と、マップで見つかる数が合わないときは、どちらかに漏れがあります。

よくある失敗

× よくある運用 ○ こうする
開店のたびに店長が自分のアカウントで GBP を作る 本部のアカウント(グループ)で作り、店長を管理者で追加する
ダウンロードしたスプレッドシートを全列のまま編集してアップロードし、空の列の情報を全店で消す 店舗コードと変える列だけを残してアップロードする。最初は 1〜2 店舗で試す
全店の名前・電話番号・URL を同じ日に一括で変える 項目ごとに日を分ける。大きな変更を同時にすると、確認が外れる例が報告されている
業者に全店のオーナー権限を渡す 業者は管理者。メインのオーナーは本部の会社アカウント
閉店した店舗を GBP から削除して終わり 閉業にする。削除すると店舗側の投稿・写真・返信が完全に消え、表示と利用者のクチコミは残ったまま管理できなくなる
全店同じ文面の投稿を、店名だけ変えて毎週出す 全店共通の投稿は月 1〜2 本にとどめ、店舗ごとの話題(地域の行事、空き状況、スタッフ)を店舗が足す
店舗別のクチコミ件数ランキングを貼り出し、店長の評価に入れる 件数のノルマはポリシー違反につながる。依頼の実施率や返信の速さで見る
本部の事務所や「エリア本部」のプロフィールを作る 顧客が来店して対応を受ける場所でなければ作らない(登録できるビジネス)

チェック項目

  • マップでブランド名を検索し、自社の店舗をすべて管理画面と突き合わせた
  • 全店舗が、本部のアカウントがオーナーのビジネス拠点グループに入っている
  • 店長・業者は管理者で、メインのオーナーは会社のアカウント
  • 本部と店舗の担当範囲と、店舗が触らない項目を手順書に書いた
  • 承認を挟むものと、承認の期限・代理を決めた
  • 店舗ごとに 1 行の台帳があり、GBP・公式サイト・ほかの媒体をそこから反映している
  • 全店舗に店舗コードが付いている
  • 出店・閉店・移転の手順に GBP の作業が入っている
  • 全店の数値と順位を、同じ日・同じ条件で記録している

よくある質問

Q. 2 つの店舗のプロフィールを 1 つにまとめられますか? できません。GBP は 1 つの拠点に 1 つのプロフィールが原則で、住所の違う 2 店舗はそれぞれ別のプロフィールです。片方を閉めて 1 店舗に統合するなら、閉める店舗は閉業にし、投稿などで残る店舗へ案内します(閉業・移転・削除)。

Q. 本部の事務所もプロフィールを作るべきですか? 事務所に顧客が来て対応を受けるのでなければ、作りません。採用や取引先向けの情報は、公式サイトに載せます。

Q. 店長に GBP を触らせたくありません。全部本部でやってもいいですか? できますが、写真とクチコミの返信は店舗の方が早く、内容も具体的になります。店長には管理者の権限で写真と返信を任せ、名前などの項目は手順書で禁止する形が現実的です。

Q. 何店舗から専任の担当が必要ですか? LocalBase 編集部の目安では 10〜20 店舗です。一括での更新、修正の提案の処理、低評価のクチコミの確認だけで、週に数時間はかかるようになります。兼務のままにするなら、作業を曜日で決めて、止まらない形にします。

出典

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